家庭菜園で育てたトマトを食べてみたけれど、甘くないとがっかりしていませんか。
せっかく、甘いトマトを食べるために育てているのに、何故甘くないのでしょうか。
トマトが甘くない理由とともに、甘くするにはどうしたらいいのかについてお伝えします。
トマトが甘くない理由
トマトが甘くない理由①トマトを甘くするにはリン酸が重要です
トマトをはじめ、野菜の味を良くするのはリン酸という成分です。特に、トマトやナスといった実をつける野菜は他の植物よりも多くリン酸を必要とします。
リン酸は有機肥料なら、骨粉や鶏糞に多く含まれています。
トマトが甘くない理由②水分が多いと味が薄くなります
トマトは水分をたくさん吸い上げると、実は大きくなりますが味が薄くなります。
味の濃いトマトを作るために水分を与えるなとよく言われますが、土に水分がないと肥料成分を吸収できません。
そのため、トマト栽培ではある程度の水を与えながら育てます。
トマトが甘くない理由③脇芽掻きをしていない
脇芽掻きをしていないと、脇芽に花がどんどんつき、実がつきます。
ただし、トマトは吸収した肥料を全ての実に分散させるため、大きさも小さくなりがちですし、味も悪くなりがちです。
トマトが甘くない理由④肥料が足りない
肥料が足りないとトマトは甘くなりません。
また、有機肥料で育てたいからとリン酸が全くない肥料をまいている人もいるようです。
油カスなどの一種類の有機肥料でしか育てていないという人は、複数の異なる肥料成分が含まれている有機肥料を用意してください。
トマトが甘くない理由⑤光合成不足
トマトは光合成ができないと吸収した肥料をうまく活用できません。
実に栄養が行かなければ味もよくなりません。
リン酸は吸収され辛い肥料成分
リン酸は土の中の微量な金属とくっつきやすい
リン酸が土の中の微量な金属とくっつくと、植物が吸収しづらくなってしまいます。
特に、関東地方のローム層は土に含まれる金属や鉱物が多いので、特にリン酸が吸収され辛いようです。
リン酸を吸収されやすくするためには?
リン酸を吸収されやすくする方法①畑の中の菌を増やす
畑の中には通常、様々な菌がいますが、その中にリン酸と金属を引きはがす働きをするものがいるのです。
そのため、菌の棲み処になるもみ殻燻炭などの炭、菌のエサとなる米ぬかなどをまくことで菌を増やし、働きをサポートすることができます。
リン酸を吸収されやすくする方法②リン酸を米ぬかで包む
リン酸を土に直接まいてしまうと、土と金属がくっつきやすくなってしまいます。
そのため、米ぬかを濡らして、その中にリン酸を入れて団子状にしたものを埋めるという方法が戦前や戦後の関東地方の農家で行われていたそうです。
実際は米ぬかでなくても腐葉土など別のもので包んでもいいでしょうし、団子の大きさは大きくても拳よりも一回りか二回りくらい小さいくらいだと思います。
団子は追肥ならトマトの株元10㎝ほどの場所に深さ20センチほどの穴を掘って埋めましょう。
元肥なら、苗を植える場所に深さ20センチほどの穴を掘り、団子を埋め、土を被せ、苗を植えます。
リン酸を吸収されやすくする方法③定期的に酢をまく
酢にはリン酸が吸収されやすくなる効果があるそうです。
濃くまきすぎると、葉っぱに障害が出てしまいますから、水に薄めてまいてください。
リン酸を効かせる以外にトマトを甘くする方法
リン酸を効かせる以外にトマトを甘くする方法①適度な水分を保つ
味を濃くするには水を与えないことが一番ですが、水がないと肥料を吸収できません。
理想は乾燥しない程度に与えることですが、忙しい方は1週間に1度だけでもいいので水をまいてあげましょう(土が乾燥すると実が割れたりひびが出やすくなります)。
真夏ではトマトの株元から2リットルの水が蒸発や吸収により失われるため、真夏の水やりは1株2リットルが目安になります。
リン酸を効かせる以外にトマトを甘くする方法②塩をまく(非推奨)
塩をまくことは実が大きくならない可能性を秘めているため、おすすめはしません。
薄い塩水や少しの塩を株元にまくと浸透圧により、水の吸収が阻害されます。
水を吸収できないため、味が薄まり辛い上に、ミネラルが豊富な塩の場合、ミネラル補給も可能です。
リン酸を効かせる以外にトマトを甘くする方法③脇芽掻きをする
脇芽掻きをすることで肥料と水分を残した実に集中させ、味をよくすることができます。
大玉、中玉トマトなら出てくる脇芽は全て摘み取り、ミニトマトなら脇芽を2本だけ残します。
リン酸を効かせる以外にトマトを甘くする方法④肥料をきちんとまく
トマトは肥料を多く必要な植物なので、適切なタイミングでの追肥を行う必要があります。
肥料をきちんとまいても、日照不足や寒さが不足していると吸収した肥料をうまく利用できないので、その場合は木酢液をまいてあげましょう。
リン酸をたくさんまくのではなく、吸収しやすくしよう
土の中にリン酸が多くあり過ぎても吸収されないと意味がありません。
家庭菜園では規模が小さいゆえに細かなケアができるので、リン酸を多くまいて吸収させるのではなく、吸収されやすい環境を作りましょう。
また、脇芽掻きを疎かにしても甘くないトマトになるので、お世話もしっかりしましょう。
トマトの記事は以下にまとめています。
初公開日2019年7月13日改稿日2023年7月3日